3つのグラフは、2016年に発生した熊本地震における木造建物の被害状況について、ある違いをもとに分析を行った結果です。どのような違いで分析したのかわかりますか?特徴として、左のグラフでは「倒壊・崩壊」という被害(茶色の部分)が他と比較して目立つ点、真ん中のグラフでは「軽微・小破・中破」という被害(黄色の部分)が目立つ点、右のグラフでは「無被害」だった(橙色の部分)という建物が目立つという点があげられると思います。さて、どのような違いがあるのでしょうか?
答えは、「建物が建てられた時期の違い」です。左のグラフは1981年5月以前に建てられた建物、真ん中のグラフは1981年6月~2000年5月に建てられた建物、右のグラフは2000年6月以降に建てられた建物です。この区分は、1981年に新耐震基準が設けられたこと、2000年には建築基準法が改正されたことを考慮して、建物への被害状況の違いを調べたデータということになります。
結果は明白な違いが見られました。1981年5月以前に建てられた建物では倒壊・崩壊した建物が多く発生しました。これは致命的な負傷を負いかねない建物被害です。単に建物が老朽化しているだけでなく、工法自体が地震に耐えられるものでなかったと結論付けています。熊本地震は、震度7の巨大地震が2回も発生しました。これらが新建築基準法に適合するように改修されていたならば、倒壊・崩壊というような被害は防げたと考えられます。なお、2000年6月以降に建てられた建物でもわずかに倒壊・崩壊した建物被害が発生していますが、これらは施工不良によるものだったと報告されています。 熊本地震の被害結果から、新建築基準法に合致した建物は震度7の地震でも耐えられることが証明されました。戸建て住宅にお住いの方は、一度ご自宅の耐震診断をされてみてはいかがでしょうか。日本建築防災協会が提供する『誰でもできるわが家の耐震診断』は簡単な質問に答えるだけで診断が可能ですので試してみるのもいいかもしれませんね。https://www.kenchiku-bosai.or.jp/taishin_portal/daredemo_sp/index.html
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